知識革命

サポートセンターは知的支援事業を行い、支援のサービスを供給する。サポートセンターの使命は知識革命を推進することである。知識革命とは知識の獲得と使用が効率化され、知的活動が軽快になることである。

 

知的支援事業はシステム開発を軽快にする。だから、サポートセンターと支援のサービスはコンピューターに続いて誕生するものである。

 

コンピューターは計算やそれに類する処理を高速に行う機械として考案され、製作された。そのような機械は科学の研究、建築、機械の設計、航海、砲撃、統計、暗号の解読などに必要とされた。完成したコンピューターは制御装置、演算装置、メモリー、ストレージ、入力装置、出力装置などの部分から成っていた。

 

制御装置は他の装置を動かし、複数の装置を協調させた。入力装置は処理の与件となるデータを読んだ。たとえば、パンチカード読み取り機はパンチカードのデータを読んだ。演算装置はデータを計算したり、比較したりした。ストレージや出力装置は処理の結果や言葉のデータを書いた。たとえば、テープレコーダーは磁気テープに、プリンターは紙にデータを書いた。メモリーは処理の与件、経過、結果のデータを入力装置が読んでからストレージや出力装置が書くまでの間記憶した。制御装置と演算装置はプロセッサーを形成した。

 

コンピューターはプログラムに従って動作した。プログラムはデータの処理、記憶、ストレージへの保存、入力、出力を指定するプロセッサーへの命令の集まりであった。プロセッサーは処理に先立ってストレージや入力装置によって読まれ、メモリーに記憶されるプログラムを実行した。一般に、コンピューターやそれを構成する装置はハードウェア、プログラムはソフトウェアと呼ばれた。

 

コンピューターは完成した後も継続して進歩した。コンピューターは装置が改良されたり、データの記録される記憶媒体が変化したりして性能が高まり、より多くのデータをより高速に処理できるようになった。ソフトウェアはそれを製造する技法であるプログラミング言語が確立して製造しやすくなった。

 

コンピューターは入力装置にキーボードが、出力装置にモニターが加わり、オペレーティングシステムが常にストレージやメモリーに存在するようになって使いやすくなった。キーボードは文字や数字をタイプして入力するための装置、モニターはそれらを表示する装置であった。キーボードとモニターは人がコンピューターと対話して処理の与件となるデータを与えたり、処理の結果のデータを受け取ったりすることを可能にした。また、キーボードとモニターはコンピューターに行わせる処理をソフトウェアが尋ね、人がそれを指示することを可能にした。オペレーティングシステムは人が任意のソフトウェアの実行を指示するとそれが実行されるようにするソフトウェアであった。モニターは改良されて画像を表示できるようになり、画像を触るためのマウスが入力装置に加わった。ソフトウェアはモニターへの描画や人が与える指示のマウスからの読み取りを指定するようになった。

 

コンピューターは進歩しながら用途が拡大された。多くの組織はコンピューターを利用して自己の活動をデータ化して把握するようになった。コンピューターは企業とその工場や店舗の、あるいは金融機関、交通機関、役所、大学、病院のシステムになったのである。また、コンピューターはシステムを開発するための設備や道具にもなった。小型のコンピューターは事務に利用されるようになったり、パーソナルコンピュータになったりした。コンピューターの用途が拡大するのと同時に、ソフトウェアはシステムの材料やシステム開発の道具となるもの、書類の作成に利用されるものなどが作られ、普及した。

 

コンピューターはある時期から複数のものが回線などでつながって互いにデータや指示を送信できるようになった。その結果、システムは連携する多数のコンピューターによって構成されるようになった。また、コンピューターのネットワークがあちらこちらに構築されるようになり、世界中のコンピューターがつながるネットワークであるインターネットも発達した。

 

企業などの組織はネットワークを整備し、そこに勤務する人々はコンピューターを利用して内部や外部と通信するようになった。多くの人や組織がコンピューターを利用してインターネットの世界で情報やサービスを提供したり、利用したりするようになった。コンピューターは通信の道具、情報やサービスを利用するための道具、メールサーバー、ウェブサーバーになったのである。ソフトウェアはメーラーやウェブブラウザーなどが作られ、普及した。

 

コンピューターは誕生し、進歩し、用途が拡大された。その結果、システムを開発する技術者や組織は技術の知識の獲得と使用を効率化することを望むようになりつつある。

 

コンピューターやソフトウェアの使い方、プログラミング言語などの技術は技術者がそれを詳しく知るよりも速く変化する。技術の変化と技能の習得に隔たりが生じるため、技術者は技能が不足し、システム開発は鈍重化している。システムを開発する技術者や組織は間もなく技術の変化と技能の習得の隔たりを解消し、システム開発を軽快にするために技術の知識の獲得と使用を効率化することを望むようになる。そして、サポートセンターと支援のサービスが必要とされる。サポーターは最小限の労力しか払わずに技術の知識を獲得し、サポートセンターはサポーターの知識をシステムを開発する技術者や組織が最大限に使えるように支援のサービスを供給する。

 

サポートセンターとなり、知的支援事業を行うのは新しく作られる組織である。新しい事業は新しい組織によって行われるべきだからである。

 

すでにある組織は新しい事業に向かない。すでにある組織はそれがすでに行っている事業を模範とする。言い換えると、すでにある組織は大きな業績の上がることを求めて事業を行う。またすでにある組織は、既知の成功パターンに当て嵌まらないことは過小評価して行おうとしない。しかし新しい事業を行う場合、大きな業績を上げようとするのは誤りである。どのような市場も初めは小さく、新しい事業は当初なかなか業績を生まない。

 

すでにある組織は種が芽を出したという程度のことを喜べないために新しい事業に向かない。すでにある組織は新しい事業を行っても長続きしない。一方、新しい組織は意図して新しい事業に相応しい姿勢をとることができる。新しい事業に相応しい姿勢とは当初の業績の目標を控え目に設定することであり、新しい成功パターンを示している可能性のあることを有望視して行うことである。

 

知的支援事業はシステム開発を軽快にするに留まらない。今後、人や組織の知識の獲得はますます激しくなる文明の進歩、技術や文化の変化、人々の意識や行動の変化に追い付かなくなる。そのため、人や組織の活動は鈍重化していく。知的支援事業は多くの人や組織をそのような状態から救い出し、さまざまな活動を軽快にする。コンピューターは製作されたとき、すでにさまざまな用途に必要とされていた。支援のサービスもさまざまな活動を軽快にするために必要とされるようになる。

 

支援のサービスはそれを利用する人や組織を生産的にする。労働力が高騰して投資されなくなった国や地域は知的支援事業を導入すれば知的労働の生産性を高めて経済の舞台に復帰することができる。

支援のサービスは多数の組織の活動によって進歩し、用途が拡大される。コンピューターは多数の組織の活動によって進歩し、用途が拡大された。コンピューターは大学、国防機関、軍などの活動によって誕生し、コンピューターメーカー、装置メーカー、ソフトウェアメーカー、ソフト会社、技術の情報を伝える出版物やウェブサイト、インターネットサービスプロバイダーなどの活動によって進歩したり、用途が拡大されたりした。支援のサービスの進歩と用途の拡大も多数の組織によって推進される。知的支援事業とそれに関連する事業の振興はコンピューターの供給とそれに関連する事業の振興がそうであったように、経済を発展させる。

 

支援のサービスは次第に無料に近付く。知的支援事業は関連する事業の増加や文明の進歩によってコストが小さくなる。また、知的支援事業はアマチュアがサポーターとしてそれに参加することによってコストが小さくなる。知的支援事業は収入が少なくても採算が取れるようになり、投じられる資金が少なくなる。その結果、知的支援事業は小さな組織が参入するようになる。そして、後発の小さな組織は価格の低いサービスを供給する。

 

事業は実現されていないことを実現する時に投じられる資金が多く、それを行う組織は大きくなる。また、事業はそのような時にまれなものを人々の元に届け、大きな収入を生じる。実現されたことを維持するとき、事業とはコストを小さくすることであり、より安く供給することである。