サポートセンターの設置

技術者の技能の不足を補い、システム開発を軽快にするために、サポートセンターという組織が新設され、その活動として知的支援という事業が行われなければならない。

 

一般の技術者はシステムを導入する組織の特定の業務を担当し、その業務を行うためのシステムの機能を完成させる。そのために、技術者はコンピューターやソフトウェアの使い方、プログラミング言語、システム開発の手順など、幅広い技術を扱う。それなのに、プロジェクトチームは新しく出現する技術を次々に取り入れる。すると、技術者はプロジェクトチームが取り入れる新技術を詳しく知ることができなくなって技能が不足する。技術者は技能が不足するとしばしば遭遇する課題や事態の処理に苦労して作業を遅らせる。

 

技術者をこのような窮状から救い出すための妙案はサポーターという係を新設することである。

 

サポーターは一つを中心としてそれに関連するものなど、少数の技術しか扱わない。その代わり、サポーターは中心として扱う技術を詳しく知っている。あるサポーターはデータベース管理システムの使い方を、他のサポーターは他の技術を詳しく知っている。そして、サポーターは自身の得意とする技術を扱う技術者を誰でも支援する。サポーターは技術者が遭遇した課題や事態を処理するのを援助する。

 

サポーターは限られた技術しか扱わない。だから、サポーターは技術者のようにシステムの一部を作ることができない。また、サポーターはいつでも技術者を支援しなければならない。だから、サポーターは自らシステムの一部を作ることを引き受けられない。要するに、サポーターはシステムを作ることに直接貢献しない。その代わり、サポーターは多くの技術者に協力し、技術者が予定通りに作業を進めることを手助けする。

 

システムを開発する組織はサポーターを置けばそのためのコストを負担しなければならない。しかし、システムを開発する組織はそれ以上に技術者が作業を遅らせることによって生じるコストを減らすことができる。

 

サポーターを置くという案はサポートセンターという組織を新設する構想に発展させることができる。サポートセンターはさまざまな技術を扱うサポーターを集め、その働きによってシステムを開発する多くの技術者、組織、プロジェクトチームを支援する。サポートセンターは技術者への支援をサービスとして供給するために商品の開発と販売、設備やシステムの運用、事務、宣伝、技術の流行に関する調査、サポーターの養成を行う。知的支援事業とはサポートセンターの行うこのような活動である。

 

知的支援事業は技術者の技能の不足を補い、システム開発を軽快にする。確かにそうだ。しかし、それに留まらない。知的支援事業は全ての人がさまざまな専門家の知識を自由に使うための仕組を実現する。また、知的支援事業は社会が有用な知識を最小限の労力しか払わずに獲得し、最大限に使うための仕組を実現する。