サービスの販売

サポートセンターは支援のサービスを商品化し、システムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームに販売する。

 

支援のサービスは三つの要素から成り、それらの内容によってさまざまな商品となる。

 

サービスの第一の要素は扱う技術である。支援のサービスにおいてはコンピューターやソフトウェアの使い方、さまざまな技法などの技術が扱われる。

 

サービスの第二の要素はサポーターの行為である。サポーターは技術者の作業のコーチや検査と珍しい異常な事態の処理を行う。

 

技術者はシステムへの要求の明確化、業務ソフトウェアの設計と製造と試験、システムの試験を行う。サポーターはそれらの作業をある技術に基づいて行うことを技術者にコーチする。サポーターは話したり、文書などの資料を提示したりして技術者に作業の仕方を教える。

 

また、サポーターは技術者の作業を検査し、それがある技術に基づいて行われているかを確かめる。サポーターは作業が適当な仕方で行われていないと判定した場合、技術者にその修正案を与える。サポーターが行う検査には業務ソフトウェアやシステムの試験は含まれない。それらは技術者が行う仕事である。サポーターは技術者による業務ソフトウェアやシステムの試験を検査し、その当否を確かめることがある。しかし、サポーターは試験そのものを行わない。

 

サポーターは珍しい異常な事態を処理する。データベース管理システム、アプリケーションサーバーなど、システムの材料となるソフトウェアを実行した時に発生するエラーの多くは業務ソフトウェアのバグを原因とする。業務ソフトウェアのデバッグは技術者にとって慣れている作業であり、難しくない。しかし、一部のエラーはシステムの材料となるソフトウェア自体のバグ、システムの材料となる二つのソフトウェアやそれぞれのあるバージョンの製品の間の不整合、コンピューターの性能不足などを原因とし、技術者にとって不可解である。サポーターはそのような珍しい事態を技術者に代わって処理する。幅広い技術を扱ってさまざまな課題を処理する技術者は一つの珍しい事態に何度も遭遇しない。つまり、技術者が珍しい事態の処理の仕方を知るのは非効率である。

 

サポーターは技術者が珍しい異常な事態に遭遇すれば、それに適当な処置を行う。または、サポーターは行うべき処置を技術者に指示する。

 

サービスの第三の要素はサポーターの位置である。サポーターはサポートセンターの事業所にいてシステム開発の現場の技術者と通信し、彼を支援する。または、サポーターはシステム開発の現場に出張して技術者を支援する。

 

サポートセンターは各商品に価格を設定する。

 

システムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームは価格よりも高い価値がなければ支援のサービスを利用しない。技術者にとって、支援のサービスは作業を進めやすくし、心身の負担を軽くする効果を持つ。またシステムを導入する組織、コンピューターメーカー、ソフト会社にとって、支援のサービスはプロジェクトを進めやすくし、システム開発のコストを小さくする効果を持つ。支援のサービスはそのような効果が大きいほど価値が高い。

 

知的支援事業は支援のサービスが価格よりも小さいコストで生産されなければ収益を生まない。

 

サポートセンターは手を尽くしてサービスの価値を高め、またその生産コストを小さくする。そうして、サポートセンターは高い価値と小さな生産コストの間にサービスの価格を設定できる状況を作り出す。

 

サポートセンターは出現して間もない技術を扱うサービスの価格を割り増しする。新しい技術が出現してからそれに詳しいサポーターが増えるまでにはある程度時間が掛かり、サポートセンターは出現して間もない技術を扱う支援のサービスを大量に供給できない。そのためシステムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームはそのようなサービスを思うように利用できないかもしれない。しかし、出現して間もない技術を扱う商品が高価であれば、システムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームはそれを安易に利用しない。その結果、出現して間もない技術を扱う支援のサービスは温存される。だからシステムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームは特に必要となる時にはそれを確実に利用することができる。

 

サポートセンターはサービスの利用形態を大きく二つに分ける。システムを開発する技術者、組織、プロジェクトチームは支援のサービスを利用する際、そのどちらかを選択する。一つはサービスを利用する都度商品の代金を支払うものであり、もう一つは随時何種類かのサービスを利用でき、それに毎月一定の料金が掛かるものである。随時のサービスの利用者が組織やプロジェクトチームである場合、料金はそのメンバー(技術者)の数を加味して算出される。

 

随時サービスを利用できることは頻繁に支援のサービスを利用する技術者、多数の技術者を抱えて活発にサービスを利用する組織やプロジェクトチームにとって好都合である。彼らはそのような利用形態を選ぶことによって支払いの手間を省いたり、予定外の支出を防いだりすることができる。